「車イスのまま、ご入店されますか?」
横浜高島屋 6階にあるカフェ「イノダコーヒ」で店に入ろうとした時のこと。お店でこのように聞かれたのは初めてのことであり、想定外でもある質問でした。
この質問の意図を考えた時、車イスで来店されるお客様の対応に慣れているお店だろう、と感じました。
この質問には続きがあります。
「ソファに移られますか? どちらの席がよろしいでしょうか」
少し考えて……、次のように答えました。
「では、一番奥のテーブル席へ。車イスのまま入店します」
「少々お待ちください」
希望通り、一番奥のテーブル席のイスをはずしてくれ、案内されました。
このやりとりから想像するに、次のようなお客様がいるのだろうと想像しました。
通常は杖などを使って歩いていて、ちょっと外出する移動手段として車イスを使用している方。イメージしやすいのは、60代の女性が80代の親を病院へ連れて行った帰りに、こちらへ寄るパターンです。
立つことも、少し歩くこともできる方の場合、車イスが邪魔になったり、店内の椅子のほうがゆったり座れて楽なこともあります。その判断を委ねるための先述の質問であろうと。
お客様の年齢層は高いです。平均年齢60歳ぐらいでしょうか。80、90歳のお客様のための接客を心がけていると感じ、その結果、それ以外の方々に対しても優しい接客になり……。それがお店の「品格」のようなものをつくっているのかもしれません。
私の場合は、車イスの方が自由が利くので、車イスのまま入店しました。入口から近い「入りやすく、出やすい」ようなところを探す必要もなかったです。店内の通路も、車イスでも通れる幅を考えて、テーブル、椅子を配置しているのではないかと感じました。
横浜高島屋にあるカフェなので、行く前から「入店できるだろうか?」などという心配事は一切ありませんでした。で、実際に来てみると、物理的、接客的バリアフリーの評価はこれ以上ないものでした。
デパートなんだから車イスで入れるのは当然でしょ?というだけでなく……、
「横浜駅界隈でちょっと美味しいコーヒーを飲みたくなったら行くべきお店」
「デパートにある王道の喫茶店」
という、コーヒーを純粋に楽しめるお店でもある、とおすすめしたいです。
それが「イノダコーヒ 横浜高島屋支店」です。あっ、「コーヒ」であって、「コーヒー」ではないと、声を大にして言いたいです。
その理由は……、「もともと“珈琲”と漢字表記しておりまして、それが“こうひ”と平仮名になり、“コーヒ”になったんです。」ということらしいです。
■ イノダコーヒ 横浜高島屋支店(いのだこーひ よこはまたかしまやしてん)
場所:横浜高島屋 6階(横浜市西区南幸1-6-31)
営業時間:10:00~20:00
最寄り駅:横浜駅西口
バリアフリー度調査報告
<バリアフリー度(☆☆☆で評価)>
入口:★★★(施設内ほぼバリアフリー)
店内の広さ:★★★(通路は車イスが通れる幅)
テーブルの高さ:★★★(問題ない高さのテーブル)
車イス用トイレ:★★★(施設内に多目的トイレあり)
接客:★★★(どの席がよいか聞いてくれる)
▼イノダコーヒのすぐ近くにある多目的トイレは広いです!