Three Penguins Coffee&Roaster(スリーペンギンズ コーヒー&ロースター)は、車イスユーザーになる前から通っているカフェ…いえ、珈琲屋です。
去年、2年ぶりにイートインした時、今度来るのが5年ぶりになったとしても、昨日来たように店主さんが迎えてくれるような気がしました。
信頼している人に淹れてもらうコーヒーを、その空間で楽しむことが好きです。「to go」しても同じ1杯ですが、やっぱり「for here」で。
根岸の滝頭(たきがしら)というバス停の近くにあります。根岸駅から徒歩15分くらいのところなので、バスを利用して行きます。車イスで行くには少し大変かもしれませんが、どなたにでもオススメできる自家焙煎珈琲屋です。
お店へ入ろうとしたその時、店内から店主さん…ペン太さんが出てきて、ドアを開けてくれました。
ペンギンさんに初めて行った時のことを忘れることができません。
私がそれまでお店を知らなかったこと、店内の綺麗さから、オープンして数年だと思い、質問してみました。
「お店開いて何年ですか?」
すると、
「まだ7年目です」と。
そこは「もう7年」だと思ったので…。
ペン太さんの優しさ、謙虚さ、コーヒーのおいしさへの探求心を感じられた会話でした。
会話だけでなく、コーヒーにも優しさが表れているような気がします。癒される空間でもあります。
コーヒー本や数十年前のサイフォンや手挽きミル、水出しコーヒーなども置いてあり、見ているだけで楽しめます。
最初の頃は、いわゆる「深煎りネルドリップ専門店」だと思っていました。間違いではないものの、正しくもないことは後で気付きました。というか、勝手なイメージだったのかもしれません。
実際は、ネルドリップかペーパードリップか選ぶことができ、コーヒー豆も浅煎りから深煎りまであります。
例えばイエメンの浅煎りと深煎りをネルドリップで飲み比べ、というのも楽しむことができます。
「濃い」「苦い」…「甘い」…「優しい」。
「好み」は「おいしい」が前提。
「おいしい=好み」
「おいしくない=好みではない」
ということではなく。
「おいしい」があって、その先に、「好みか好みではないか」があって。
おいしい。
「深煎り・ネルドリップ」が久しぶりだったせいか、いつもより苦く感じたような。
でも、おいしかったです。
どなたにでもオススメできる自家焙煎珈琲屋です、と言いながら、「深煎り・ネルドリップ、オススメだから飲んでみて」と言えるものではないです。好みが分かれますので。
「こんなコーヒーもあるから飲んでみて」と言って、飲んでみてもらいたいですけど。
都内で流行っているような「今風」の「浅煎りコーヒー屋」が言いそうな、
「コーヒーの概念が覆りますよ」
というのは、「深煎り・ネルドリップ」のほうが当てはまりそうな。
こういったコーヒーを飲めるお店のほうが貴重で。
その日飲んだ、丁寧に淹れたネルドリップコーヒーは、水出しコーヒーに近くなることを感じた1杯でした。
焙煎した方にコーヒーを淹れてもらえれば、そのコーヒー豆にとっては一番美味しいポイントだと思いますし、気持ちがこもってますし。
逆算というか、その1杯をイメージして豆を焙煎しているとしたら…。
で、豆を買って、その1杯をゴールにして家で淹れるわけで。
コーヒー豆を並べて売っているだけのようなコーヒー屋は、どこかぶん投げのような気がします。
コーヒーに対しての引き出しを多く持っているペン太さんだと思いますが、あまりそれを出してこない感じが好きです。
それでも、焙煎後10日で飲み頃の豆があればオススメしてくれます。
というわけで、豆選びは適当というか、ペン太さんにお任せのようなものです。
「今日は何がありますか?」
「飲み頃は何ですか?」
「中煎りと深煎りで」
入院していた時は、メモを渡してお使いを頼んだこともありました。その時は紙コップを使って淹れていました。
自分の淹れ方が上手いわけではなくて、淹れ方をあまり選ばない豆のような気がします。また、そういったコーヒー豆であることがベストだと思います。
コーヒー以外のことについては語る必要はないと思いつつも…、こちらのドーナツが好きです。
シンプル、素朴なのですが、そこにこだわりを感じられるものです。
お店でドーナツを注文すると、温めてくれます。この温めにも、ペン太さんのこだわりを感じます。それは、表面厚さ1mmの「サクサク感」のような。
テイクアウトも可能です。持ち帰った時はオーブンで少し温めたほうがおいしいです。
「最後の晩餐」ならぬ「最後の1杯」があるとすれば、「極深煎り」「ネルドリップ」「デミタス」を自分で淹れると思います。
誰かに淹れてもらうとしたら…、その1つはペンギンさんです。
「最後の1杯」で思い浮かぶお店なんて、そうそうないでしょう。
きっと、「誰に」淹れてもらいたいか、なのだと。
「誰に」というのは私の中には「4人」いて。皆さん優しい方々なので、「最後の1杯」は苦くても、優しいコーヒーです。
■ Three Penguins Coffee&Roaster(スリーペンギンズ コーヒー&ロースター)
住所:横浜市磯子区滝頭3-4-22
営業時間:お昼(12:00)ごろ~18:00
定休日:火曜
最寄り駅:横浜市営バス「滝頭」、JR根岸駅(徒歩約17分)
食べログ:https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140308/14045926/
バリアフリー度調査報告
<バリアフリー度(☆☆☆で評価)>
入口:★★(手動ドアだが段差はなし)
店内の広さ:★★(店内はフラット)
テーブルの高さ:★★(テーブル、カウンターあり。テーブル席利用可)
車イス用トイレ:なし(近くのクリエイト磯子滝頭店、市電保存館にあり)
接客:★★★(優しさ感じる接客で1人でも入店できる)
物理的、接客的バリアフリーについて
入口は手動ドアですが、ペン太さんが気づいてすぐに開けてくれます。
店内はフラットで、車イスでもすごしやすい空間です。
すぐ近くにある「クリエイト 磯子滝頭店」に多目的トイレがあります。前を通りかかっただけで、利用していませんが。
また、ウェブサイトで確認しただけですが、「横浜市電保存館」にも多目的トイレがあります。
一般的には入場料がかかりますが、障害者手帳を持っていれば無料です。が、トイレだけだと気軽に利用しにくいのと、場所がすぐに分かりそうにないため、クリエイトのほうが利用しやすそうです。
アクセスについて
最寄り駅はJR根岸駅ですが、徒歩で約17分かかるので、横浜市営バスを利用し、終点の「滝頭(たきがしら)」で下車します。
利用したことはありませんが、JR磯子駅が始発のバス(京急)もあるようです。
路線については、近くにある横浜市電保存館のアクセス情報をご参考ください。