車イスユーザー的に「これは究極のバリアフリー電車では?」と思える路線が横浜にあります。
それは……、横浜市営地下鉄グリーンラインです。中山駅と日吉駅を結ぶ路線として、2008年3月30日に開業しました。
横浜市営地下鉄にはブルーライン(あざみ野~湘南台)もありますが、グリーンラインのほうです。
「センター南」で買い物をしてから「中山」へ行くために、久しぶりにグリーンラインに乗った時のこと。
グリーンラインは5年前に1度だけ利用したことがありますが、車イス生活になってからは初めて乗りました。
いつも電車に乗る時と同じように駅員さんに、「中山駅まで行きたいのでお願いします」と伝えると「そのまま行けますのでどうぞ」と返ってくるではありませんか!
一瞬、どういうことか分かりませんでした。いつも電車に乗る時には、駅員さんにホームと電車の間にスロープをかけてもらうからです。
降車する際も、駅員さんが降りる時間に待っていてくれて、スロープをかけてもらい、降車します。
そのまま行けます、って? どういうこと? スロープがいらないということ?
頭の中に「???」を浮かべながらそのまま行ってみると……、ホームと電車には「隙間」が少ししかありません。高さはほぼ同じ。車イスの前輪を少し上げるだけで、楽に乗れることができました。
完全フラットではありませんが、普段1人で外出している車イスユーザーであれば、何の問題もなくクリアできるでしょう。
横浜市内ではほとんどの電車に乗りましたし、都内へも出掛けたこともありますが、これは初めての経験でした。
もちろん、中山駅でも単独で降車できました。
横浜市交通局に、グリーンライン車両とホームとの段差・隙間について尋ねてみると「段差約1.5cm、隙間約6.5cm」とのことでした。
2019年8月に国土交通省が車イスユーザーの単独乗降支援について「段差3cm、隙間7cm」という目安値を発表していましたが、余裕でクリアしているじゃないですか!
合わせて、グリーンラインのバリアフリー化について問い合わせたところ、2008年に開業したグリーンラインは、2006年12月に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」後の整備であり、バリアフリー化の重要性を考慮して、法および横浜市の基準に則って、グリーンライン各駅の整備を行いました、との回答をいただきました。
2008年からこのような電車があったのはすごいな、と感じました。ましてやグリーンライン開業の計画が始まったのは、その何十年も前のことだと思いますし。
車内のフリースペースは、このような感じです。
手の力が弱い方は、このような車イス固定器具を使うこともあります。すべてのフリースペースに完備されていました。
中山駅はトイレも充実しています。多目的トイレが2つ並んでいて、それぞれ設備が異なっています。
向かって左側の多目的トイレは、オストメイト対応、ユニバーサルシート設置、固定手すりは左側。
向かって右側の多目的トイレは、ベビーベッド設置、固定手すりは右側に。
もちろん、どちらの多目的トイレも車イスで利用可能ですが、オストメイトの方が利用されるかもしれないので、私は「ベビーベッド設置」の方へ。
それにしても、グリーンラインは快適な乗り心地でした。車イス生活になって初めて、改札を通ってから、電車にスムーズに乗ることができましたので。
ブルーラインもバリアフリー電車になればいいなぁ……と思いますが、残念ながら、まだ車両とホームの段差・隙間を解消する具体的な予定はないようです。
なぜ中山駅で降車したのか……。それは、行きたかったカフェがあったから。また別の記事で紹介します。
取材協力:横浜市交通局
▼行きたかったカフェ「喫茶アンバー」の紹介はこちら
▼中山駅から「喫茶アンバー」へのアクセスはこちら